人を励ます字体で遊ぶ
年賀状に書く賀詞の練習をしていて気づいたことがあった。
自分が筆ペンで書いた字、後半が、居酒屋とかでよくある「人を励ます字体」っぽいのだ。
入口の札にかかってる「頑張って支度中」とか、
メニューに書いてある「有機野菜」「無農薬」とか、
居酒屋以外でも、道でやっている「あなたの顔を見て詩を書きます」というやつとか、
もっと言ってしまうと相田みつをさんっぽいのだ。
かなり乱暴な気もするが、なんだかそれに通ずるものをこの賀詞を書いていて感じた。
ネットで似ているかどうか確かめてもよかったのだが、「似てるかも!」という興奮のまま色々な単語やフレーズを書いてみることにしました。
初期衝動というやつである。
居酒屋っぽい!
塩分控えめの、優しい味のするお漬物を出してくれそうである。
筆ペンで、思い切ってぎゅっと筆圧強めで書き出して、にじみをうまく残すのがコツみたいである。
やっぱりちょっとそれっぽい気がする。
遠くから見るとよりそれっぽい。
優しく人を励ませそうな雰囲気を持った字である。疲れた心にすっと入ってきて、優しく内側から温めてくれそうな字だ。(もちろんそもそもそういう気持ちがこもっていないので、人は全然励ませない。むしろ僕を励ましてほしい。)
優しく人を励ませそうなので、この字体で敢えて厳しいことを書いてみることにした。気持ちが込もっていない人間ならではの発想である。
【作品①『謝って済む問題じゃないんだよ』】
怖い!
「ないんだよ」じゃねえよと思う。
顔は笑ってるけど怒ってるという、怖い怒り方の典型例である。
【作品② 『うだうだ言ってないで就職したらいいんだよ』】
だから「いいんだよ」じゃねえよ、と思う。
だがぐうの音も出ない。
正論って怖いなあと思う。
【作品③ 『ありのままでいいとは言ったけどそういうことではないんだよ』】
名言に甘えた人間への警鐘を鳴らしている。
そういうことではないのだ。ありのままの自分というのは。
【作品④ 『努力は君を裏切らないけどそれは努力に入らないよ』】
名言に甘えている人間への警告である。
自分で書いていてどきどきしてしまった。
とげとげした物体が、優しい字体によって体の内側まで入ってきてしまった感覚があった。
「じゃあどうすればいいのだ!」と叫びたい。自分で書いといてなんだけど。
【作品⑤ 『ケツの穴に手 突っ込んで 奥歯ガタガタ言わせるよ』】
怖いセリフの代表とも言えるかもしれない。
なんだか現実離れしているので、少し安心して怖がれる作品。
【作品⑥ 『そういうのは自炊とは言えないよ』】
一人暮らしへの厳しい言葉。
カップラーメンに野菜炒めを入れたり、パウチを温めるタイプのカレーを買う、などを指して言っているのだろうと思う。
「自炊がそんなに偉いのか!」と言い返せばいいと思う。
とりあえず、色々書いて満足しました。
年賀状はまだ書いていない。
(↓色々書いた)