アメリカンジョークをパワーポイントで解説する
twitterで、アメリカンジョークbotなるものをいくつかフォローした。
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これを読み込んで、いずれは自由自在に小粋なジョークを言えるようになりたい、と思ったからだ。
しかし、考えが甘かった。
時々、何が面白いのか分からないジョークがあるのである。
初めて読んだ時、
「・・・ああ、ああ!・・うんうん、そうか、うん・・。」
となった。
笑えてないのである。これではいけない。
読んで笑えないなんて人間が、アメリカンジョークを言えるようになるわけがない。
思っていたより道のりは遠かった。
駅から徒歩3分と言われて出かけたが、駅に着いてみたらそもそもその駅から出るまでに8分かかるのである。
ターミナル駅おい!副都心おい!
しかし我々は一歩づつ、着実に前進していかなくてはならない。
どんなに遅い歩みであったとしてもである。
というわけで、まずは、先ほどのジョークをしっかり理解するところから始めようと思う。
理解するには、分かりやすく自分で説明してみればよいのだ。
人に話すつもりで解説することで、自分が気付けていなかったこのジョークのポイントをつかめるかもしれない。
そしてわかりやすい説明と言えば、パワーポイントである。
なぜだかわからないが、大学でもビジネスでも、プレゼンテーションと言えばパワーポイントなのである。
きっとアメリカンジョークも分かりやすく解説してくれるはずだ。
ということで、こうなった。
抜群にわかりやすい。
「いいニュースと悪いニュース」という前振りをしているのに、一言でどちらもが把握できてしまう言葉の切れ味の良さ、軽快さ、これが患者さんの深刻な状況とのコントラストによってより際立って、面白いアメリカンジョークを演出していることが分かる。
看護師さんの他人行儀なクールな態度もアメリカンジョークっぽい。
「主治医が言ってたから伝えました。」
とドヤ顔で言ってくるのであろう。
こんな感じで、分からないジョークを解説していこう。
何回か繰り返すことで、身についていくはずである。
これはすごく基本的な感じがしていい。
このジョークを制覇すれば、初級のジョークをあらかた制覇したと言えるのではないだろうか。
というわけで、パワーポイントで解説した。
分かりやすい!
そしてパワーポイントのクリップアートで、いい感じの弁護士っぽい紳士がいたので大満足である。
依頼人もなんかアメリカンジョークに出てきそうな一般人、という感じがして良い。
その一般人が「2つの質問」をすると予告したのだが、弁護士が見当違いな部分を「質問」と見なしたところが面白いのだろう。
ドラゴンボールGTの最初で、ピラフが悟空と言い争いをしている内容を神龍が聞いて、願い事だと勘違いしてしまったやつと同じ仕掛けのジョークである。
そして、勘違いをした弁護士の言葉でジョークが終わっているところも、なんだか余韻があっておしゃれである。
次はこのジョークである。
「ブロンド女」という言い回しがすごくアメリカンジョークっぽい。
こういうことである。
このやはり、あの短いやり取りの中にこれだけの情報を含ませているところが、アメリカンジョークの味わい深い点なのだろう。
川柳と同じである。
お〜いお茶のラベルに川柳が書いてあるが、そういうことならリプトンのラベルにアメリカンジョークが載っていてもいい。
(勢いで書いたがリプトンはイギリスから来た飲み物だ…)
そして、ここまでやって、というか一つ目のパワーポイントから感じていたのだが、野暮である。
分かりやすいが解説してあるジョークを読んで面白いかといえば面白くはない。
繊細に作り込まれたモニュメントをバラバラにして地面の上に並べている気持ちがする。
向かい合って熱い視線を交わす男女を指差して「付き合っちゃえよー!」とか言ってしまっている気がする。
だが、野暮なことはやったらやったで楽しいのである。
「分かりやすくしてあげている」という「善行」っぽい建前があるために何だか妙な高揚感と達成感がある。
野暮だと知りつつ、最後にがっつり野暮に解説してみようと思う。
長めのジョークである。
これをがっつり解説してみたらこうなった。
タイトルスライドである。
ジョークには名前がないので、丸々タイトルにジョークを再掲することとなった。
こういう感じも野暮で良い思う。
まず情報を整理するために、登場人物を確認する。
女性A、女性B、男性の3名である。
背景としては、女性2名は亡くなってしまっており、天国で話をしているという設定。
女性Aと男性は夫婦、そしてこれはジョーク内で明かされるのだが、女性Bと男性は浮気関係にある。
本来ならジョーク中に気がついて笑えるのがベストなのだが、分かりやすく解説するために事前に把握しておく。
こういうところがいちいち野暮なのである。
ジョークを分解した前半部分である。
この時点までは、女性Aと女性Bは初対面で自己紹介がてら自分の死因を打ち明け合っているように見える。
だが、後半部、女性Bの「何で冷蔵庫を探さなかったの!?」の一言で事態が一変する。
女性Aの夫の浮気相手は女性Bだったのである!(さっき言ったけど。)
この複雑な人間関係が一言で一望できてしまう爽快さがアメリカンジョークの醍醐味なのだろう。
まとめるとこのようになる。
完全に理解できた。僕が。
理解できたが、もう一度これを聞いて笑えるかというと明瞭すぎて笑えないと思う。
アメリカンジョークの機微は、初見で上記全てを把握して、でも敢えて種明かしはお互いせずに、ただ笑ってしまうというところにあるのだと思う。
「傑作だ!」とか「たまんねえな!」みたいな感じで、「理解したよ」という意思だけ伝えるリアクションをするのがスマートなのである。
でも、全然分からず、なんとなくで笑ってしまうのも楽しいのかもしれない。
その辺も受け入れられる懐の深さがアメリカンジョークのかわいいところだ。
あとパワーポイントを無駄にいじるのはとても楽しかったです。